立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花、この言葉は日本に昔からある美人を形容する言葉です。

ここに出てくる芍薬、牡丹、百合すべて漢方生薬なのをご存じでしたか?

ただし用いられる場所は花ではなく根っこです。

芍薬の花

芍薬の根っこには作用が大きく二つあり、根っこをそのまま乾燥させたものを赤芍(せきしゃく)といい、血液をサラサラにする作用があります。

芍薬の根っこの外側の皮を取り除いて白い部分だけを乾燥させたものを白芍(びゃくしゃく)といい、漢方的に言う補血作用や筋肉の過剰な緊張(けいれん)を取り除く作用があります。

牡丹の花

牡丹の根っこの皮を乾燥させたものを牡丹皮といい、これも血液をサラサラにする作用があります。

牡丹も芍薬も同じ牡丹科で同じ種類の仲間です。

そのせいもあってか、漢方的に言う血(けつ)の部分に働く作用があります。

これらを含んでいる代表的な漢方薬に桂枝茯苓丸という漢方薬があります。

百合の花

また、百合の根っこを乾燥させたものを百合(びゃくごう)といい、これは咳止めなどに用いられます。

つまり百合(びゃくごう)とは百合根を乾燥させたもののことなのです。

ユリ根が採れる時期というのが秋から冬にかけてです。

これはちょうど日本で風邪が流行り咳がよく出る時期と一致するのです。

季節の旬の食べ物にはその季節に起こる病気を防ぐ力があるという風に昔から考えられているのですが、百合( びゃくごう:ユリ根)もまさにそのようなものの一つだと思います。