不妊症の患者さんが来られました。

この方は現在40代で、現在、広島では比較的有名な不妊治療専門のクリニックに通われています。

不妊症に関連する病気としては、高プロラクチン血症があり、お薬を飲まれています。

それ以外に、左の卵管閉塞があるそうです。

また、子宮筋腫もあるそうですが、大きさは3センチぐらいから大きくなっていないそうで、経過観察の段階だということです。

過去にホルモン補充療法した時にFSHが急に50台閉経に近い状態まで急速に上昇したことがあるそうです。

おそらく、ホルモン補充療法が合わないタイプの方なのだと思います。

AMH卵巣年齢は0.2以下だそうです。

自覚的な症状としては、冷え性があり、手足が冷えるそうです。

また疲れやすく、胃もたれしやすいなど、胃腸の状態も良くないそうです。

食養生イメージ

そして、最初に来られた患者さんには、現在服用されているサプリメントなど一通り持ってきてもらって、チェックするようにしているのですが、漢方相談をされるまでは5種類の健康食品・サプリメントを飲まれていました。

これらのサプリメントをチェックしてみると、葉酸系以外のサプリメントは合っていなかったのでやめていただくことにしました。

あとは基礎体温を持って来られていたので、それらを含め、総合的に判断して、この患者さんに合う漢方薬を飲んでいただくことにしました。

そして、お薬を出して一週間後にとりあえず来ていただいたのです。

その際に身体を状態をチェックしたのですが、どうも薬が微妙に合わなくなってきている気がしました。

そのため、また漢方薬を変更してまた再び服用していただくことにしました。

そして、また次の相談に来て頂いたところ、また漢方薬がずれてきている気がして、また漢方薬を変更することになりました。

この患者さんの場合は1ヶ月同じ薬を出したことはない感じでした。

そして前回、漢方相談に来られた際に、ここ最近しんどい元気がない、便秘がち胃がムカムカして気持ち悪い、などの症状があると言われるのです。

不調イメージ

このような症状が新たに出てきた時に、考えられることは、症状から考えると、風邪を引いた、何か食べ物で食あたりを起こした、漢方薬が合わなくなって副作用が出てきている可能性、急激に何らかのストレスが加わったなどです。

しかし、何をチェックしてみても特に問題になっているようなものは見つかりませんでした。

そうすると、それ以外に考えられることというのは健康にいいと思って最近始めたことが身体に合っていない時なのです。

そこで「最近何か始められたこととかありませんか?」とお伺いしたところ、健康茶を買って飲み始めたことと、漢方薬を飲み始めて一時やめていた健康茶を再び再開したということでした。

つまり、最近2種類以上の健康茶を飲み始めたことになるのでとても怪しいです。

そこで、とりあえず、その健康茶を服用するのを止めて頂いて、次回、直接現物を持っていただくことにしました。

そして、一週間を来られた際に、体の状態を伺いすると、前回言われていた元気がない、便秘がち、胃がムカムカして気持ち悪いなどの症状は消えたそうです。

この結果から、恐らくご自身で始められた健康茶が体に悪影響を出していたと考えられるのです。

漢方治療イメージ

そこで、実際に服用されていた健康茶を見せていただいてチェックすることにしました。

そうすると、一つは生姜紅茶で、あともう一つは妊活で有名な薬局が作られている健康茶でした。

生姜紅茶そのものはチェックをするとこの患者さんに全く問題はありません。

実際にこの患者さんは生姜紅茶を以前は飲まれていたのです。

ただし、この生姜紅茶、今飲んでいる漢方薬に合わせると胃腸などに副作用の反応は出てきます。

つまり、生姜紅茶と漢方薬の相互作用によって問題が生じたと考えられるのです。

なぜ、ただの健康茶と漢方薬で相互作用が出るのでしょう?

それは知らない方が多いのですが、生姜が漢方薬の一つだからです。

つまり、漢方薬に生姜紅茶を同じタイミングで飲むと 漢方薬+生姜という別の漢方薬になってしまうのです。

具体的な例を挙げてみます。

例えば風邪薬の葛根湯というのがありますが、それを生姜紅茶で飲めば、葛根湯加生姜という別の処方になってしまうのです。

おそらく、通常のぞくぞくする寒気があるような葛根湯が効くタイプの人がこういう飲み方をすると、 単独で葛根湯を飲むよりも効きが悪くなるか副作用が出やすくなると思います。

なぜなら、漢方薬は中に入っている生薬(生姜なども含む)の配合比率というのは何千年も前から決まっているのです。(古い書籍に配合比率まできっちりと書いてあるのです)

葛根湯にももともと生姜が入っています。

それは昔からの経験値で最も良く効く生姜の配合比率で入っているのです。

そこに、別で生姜を飲むことをすると1回2回飲むくらいでは影響しないかもしれませんが、毎日決まって飲むと薬と同じように常に身体の中に一定の生姜がある状態になります。

そうすると、その生姜によってもともとの漢方薬の配合比率を崩れてしまい、その漢方薬の効能が弱くなったり副作用が出やすくなったりすることがあるのです。

多くの場合、健康茶と言われるものの中には漢方薬に使われる生薬を含んでいることが多いです。

そのため、自分に合っている(体調が良くなっているなど) 漢方薬を服用している時には健康茶などを併用しない方が良いことが多いのです。

この患者さんのケースはまさに、この典型的な例でした。

恐らく、この患者さんをチェックするたびに、毎回漢方薬が変わったのも、ここら辺のことが関係しているのではないかと思いました。

そのため、漢方専門の店などに通っていて、漢方薬を出してもらっている時に、健康茶などを新たに飲む際には、その担当の先生にどんなものを飲みたい・飲んでいるということをお伝えした方が良いと思います。

ちなみに、この患者さんがもう一つ飲まれていた、妊活で有名な薬局の出している健康茶も無条件に合っていませんでした。
この話は次回詳しく書きます。