不妊症の患者さんを日々治療していて患者さんに時々聞かれたり、お問い合わせがあったりすることについてちょっと書いておこうと思います。
年齢と妊娠しやすさについてです。これは治療している自分の感覚なのではっきりとした統計を取ったわけではないのでそういう感じで読んでください。
もし基礎体温も、女性ホルモンの値も特に問題がない場合、(つまり同じ条件ということ)20代、30代、40代ではやはり若い方のほうが妊娠しやすいです。当たり前です。妊娠しやすさはほぼ年齢に比例します。
ただし一般的に西洋医学的に高齢妊娠と定義されている年齢には若干疑問があります。僕の感じでは35歳と30歳では妊娠するしないにそれほど差は感じません。30代の中で年齢の差を感じ始めるのはおよそ38歳くらいからです。これは個人差があるのであくまで目安です。そこからは39歳、40歳、41歳、42歳、43歳と年を追うごとに妊娠率は低下します。実際には妊娠率はそれほど差がないのかもしれませんが出産まで至れる数が明らかに少なくなるのです。うちで最高齢は45歳妊娠で46歳出産の方ですが、現時点では45歳の方はこの方だけです。
40代の方の妊娠は難しいですかといわれるとそうですが、無理ですかといわれるとそうではないといえます。ただし40歳を超えると多くの場合女性ホルモンの分泌やそれに対する体の反応が鈍ってきやすいですし、場合によっては更年期や閉経との戦いになります。そのため多くの場合、20代の患者さんに比べれば明らかに薬の量や種類が増える傾向があります。ただし40代でも女性ホルモンの値も、基礎体温も正常の方もおられます。漢方的に見てあまり不妊治療の必要のない方もおられます。しかしそういう場合以外に重要なのはご主人の問題だったりするのです。私の感覚では高齢になるとご主人も高齢なので、男性不妊を生じているケースが多々あるのです。私の感じとしては不妊治療に来られる少なくとも3割程度の方に男性不妊もあるように思います。高齢になればここの部分をの取り残してしまうと時間的に間に合わなくなることがあるのです。40代以上の不妊症の患者さんに私が言いたいのは、不妊治療だけはあとでもう一度やり直すことができないので、あとで悔いが残らないようにしていただきたいということです。